合格率が低い理由は何なのか。。。
試験問題は難問ばかり?
通関士試験は間違いなく難関資格です。
合格率は例年10%~20%で推移しており、必要学習時間は400時間と言われています。
通関士試験の難易度を押し上げる要因は『勉強のモチベーション維持が困難』という点でしょう。
試験に挫折する受験生が後を絶ちません。
この記事を読むことで、あなたは通関士試験に挫折する要因を理解することができます。

通関士試験に2回目で合格し、現在は通関士として勤務している私が詳しく解説します。
目次
通関士試験が難関資格である根拠3つ
通関士資格は間違いなく難関資格です。
そう言い切れる理由は次の3つ。
- 10%という低い合格率。
- 難易度が低いという主張は『超難関資格』と比較されて行われる。
- 企業が資格の難易度を認めている。
それぞれ見ていきます。
合格率10%という低い合格率
通関士試験の合格率は例年13~15%。
低い合格率を誇る資格試験として有名です。
科目免除制度を使えない一般の受験者はさらに合格率が下がります。
その場合の合格率は10%程度と言われていますね。
あなたは人生で上位10%に入ったことがありますか。
上位10%の具体例にはこんなものです。
- 大学受験でmarchに合格(大学受験生の上位10%)
- トーナメント戦4回戦進出(大会参加者の上位12.5%)
通関士試験に合格するために、受験者の上位10%に入る必要があります。
10人に一人しか合格できないことをイメージしてください。
通関士試験は間違いなく難関資格です。
合格率10%の資格試験はそんなにありません。
実は簡単説もあるが、信じてはいけない
通関士試験の難易度は過大評価されているという意見もあります。
その根拠は『受験者のレベルが低い』という次のようなものです。
- 大半が勉強時間の確保を出来ない社会人受験者
- そもそも勉強してない受験生が多い
- 高学歴が少ないとされる物流業界の受験生が多い
通関士試験を受験した際、実は私自身もこの傾向を感じました。
特に『会社の命令で受験だけしに来た受験生』が多かったと記憶しています。
ただ、この批判は『最難関国家資格』と比較して行われています。
弁護士・公認会計士等です。
一般の資格群の中で通関士資格は間違いなく難関です。
決して、『受験者のレベルが低いから楽勝!』なんて勘違いしてはいけません。
受験者のボリューム層が社会人という資格試験が大半です。
通関士試験は『超難関資格』ではありませんが、『難関資格』でしょう。
貿易・物流企業が高い難易度を理解している
貿易・物流業界は通関士試験の難易度を理解しています。
自社の社員が毎年大量に受験し、ほとんど落ちているからです。
貿易・物流企業の社員は通関士資格の取得を必ず推奨されます。
結果、勉強挫に折した社員が通関士試験会場にたくさん出現するのです。
社員は初めからやる気が無かったわけではありません。
合格を目指して学習し、早々に諦めてしまっているのです。
貿易・物流企業にとって、通関士試験は社員がなかなか合格できない超難関資格。
通関士資格の取得難易度を企業はしっかり理解しています。
勉強のモチベーション維持が合否の分かれ目
通関士試験は勉強のモチベーションを保つことが困難です。
やる気をなくす要因がたくさんあります。
代表的なのがこの3つです。
- 試験勉強が実務の役に立たないと感じてしまう。
- 試験が1年に1回しかない。
- 取得の労力に見合うメリットが無いと感じてしまう。
それぞれ見ていきましょう
試験勉強が実務の役に立たないと感じる
実務と試験は全く別物。
通関実務を経験しても、通関士試験で合格点は取れません。
基本的に資格試験は業務経験者が正解できる問題を出題します。
業務スキル・知識を証明することが資格の目的です。
ただ、通関士試験は話が違います。
『合否を分ける設問はイレギュラーケースがほとんど』だからです。
通関士試験は実務で全く必要とされない知識も問われます。
何の役に立つかわからない設問も正答しないと合格点を取ることができません。
貿易・物流業界の会社員はモチベーションの維持に苦労するでしょう。
試験が1年に1回しかない
通関士試験は1年に1回しかありません。
1度不合格になると勉強する必要の無い期間が数ヵ月生まれます。
通関士試験に1年間の学習は不要です。
長く見積もっても期間は半年、合計400時間の学習で十分でしょう。
【通関士試験】合格に必要な勉強時間は戦略で変わる【何回受ける?】
一度不合格になると、翌年の受験がとても面倒になります。
1年間勉強し続ける必要を感じられないまま、ただ時間が流れるのです。
試験難易度と試験頻度が勉強する必要の無い期間を生み出します。
通関士試験は1回不合格するとモチベーションが保ちにくい試験です。
取得の労力に見合うメリットが無いと感じてしまう
通関士資格は取得の労力に見合うメリットが無いと感じる方が多いです。
通関士資格取得のメリットにはこんなものがあります。
- 就活生にとって、物流・貿易業界へのアピールポイントとなる
- 物流・貿易業界に所属する社員にとって、キャリアアップとなる
- 通関士への転職を希望する方にとって、強みとなる
確かに良いこと尽くしに見えます。
ただ、これ全て他の方法で解決できるのです。
物流・貿易業界では通関士と同等に『英語』『PCスキル』が重宝されます。
通関士資格取得より、別のスキルを身に着けようと考える方が多いのです。
他のスキルに目移りし、通関士試験を挫折する人もたくさんいます。
試験問題の難易度は自体はそこまで高くない
実は通関士試験の問題はそこまで難しくありません。
合格に特別な才能も必要ないです。
通関士は定型業務に高い能力を求められません。
通関士に求められるのは『法律に定められた輸出入業務を行うこと』。
真面目に、丁寧に、コツコツ調べる能力が必要とされるのです。
通関士試験もしっかり対策すれば誰でも合格できるようになっています。
そういう意味では通関士試験は上手く適性を見れる試験です。
通関士試験の合格には2~3回の受験を想定しましょう。
受験のチャンスは何回でもあります。
通関士試験は誰でも真面目に準備すれば必ず合格できます。
ただ、片手間に勉強する人は合格出来ない『難関資格』です。
通関士試験合格の難しさまとめ
この記事では通関士試験の難易度が高い理由について紹介しました。
ポイントはこんな感じです。
- 合格率10%程度の難関資格。10人に1人しか受からない
- 勉強のモチベーションを保つのが難しい
- 試験問題自体は難しくない
- 誰でも真面目に粘り強く努力すれば合格できる

通関士資格はモチベーションを維持し、コツコツ勉強すれば誰でも合格できます。
数年に一度の難問にくじけず、何度も受験する粘り強さが必要です。