【通関士の仕事内容】海上と航空で通関業務にどんな違いがあるの?

通関士の仕事内容
通関士の求人を読んでも業務内容をイメージできない。。。
海上貨物と航空貨物どっちを専門で取り扱う通関業者がいいの?
海上/航空どんな特徴があって、どういう人に向いてるの?

海上貨物の通関業務は取り扱う金額が大きく、ミスが大問題になりやすい仕事です。
スピード感よりも正確性を重視されるでしょう。

一方、航空貨物の通関業務はとにかく緊急性が高いです。
正確性も重要ですが、納期に間に合わせるスピード感が重視されるでしょう。

この記事を読むことで、あなたは海上貨物と航空貨物の通関業務 どちらに向いてるか判断することができます。

ゆうき
ゆうき

海上貨物の通関業務をメインに、航空貨物の通関も経験する私が詳しく解説します。

【大前提】貿易する貨物は船か飛行機で運ばれる

日本が貿易する貨物は『船』か『飛行機』で輸送されます。
海上貨物は船で輸送されるモノであり、航空貨物は飛行機で輸送されるモノです。

貿易関係の仕事は『海上/航空』で業務内容が大きく異なります。
通関士も『海上/航空』どちらかの通関業務をメインで担当することになるでしょう。

船で運ばれるものは海上貨物

『船』で輸送されるものが海上貨物です。

日本の場合、貿易貨物の99%以上が船で輸送されています。
海上貨物が圧倒的な物量を誇ることは理解してください。

旅行用の客船で貨物が運ばれることは稀です。
貨物を運ぶための専用船がいくつも運航されています。

飛行機で運ばれるものは航空貨物

『飛行機』で輸送されるものが航空貨物です。

航空輸送はコストが高く、利用する貨物はやや特殊なものに限定されています。
海上貨物に比べ、取り扱い量が圧倒的に少ないのはそれが理由です。

貨物運搬用の飛行機は運航されていません。
基本的には旅客用が乗る飛行機の空きスペースに貨物を積載しています。

海上/航空 で通関士の働き方が大きく異なる

海上貨物or航空貨物 どちらをメインで担当するかが通関士の働き方を大きく変えます。
同じ職業とは思えないほどの違いです。

具体的に次の3点で相違があります。

  • 勤務地
  • 勤務時間
  • 使用するシステム

それぞれ見ていきましょう。

通関士の勤務地が異なる

海上貨物/航空貨物 どちらをメインで担当するかによって、通関士の勤務地が決まります。

それぞれ次の立地で勤務することになるでしょう。

海上貨物を取り扱う通関士は『港周辺』の営業所。
航空貨物を取り扱う通関士は『空港周辺』の営業所。

通関士は完全に内勤の仕事ではありません。
担当貨物の税関検査立ち会い等を理由にそれなりの頻度で外出もします。
通関営業所は担当する貨物のなるべく近くに立地するのが効率的です。

通関士の外出事情についてはこちらの記事で紹介しています。
通関士の最初の仕事『ランナー業務』内容を現役通関士が紹介!!

航空貨物は空港に到着し、海上貨物は港に到着します。
航空貨物をメインで取り扱う営業所は空港に集まり、海上貨物をメインで取り扱う営業所は港に集まるのです。

あなたは空港周辺と港周辺 どちらで勤務したいですか?
勤務地は仕事の満足度に大きく影響する指標です。

海上貨物/航空貨物 どちらを担当するかが勤務地を決めると理解してください。

通関士の勤務時間が異なる

海上貨物/航空貨物 どちらをメインで担当するかによって、通関士の勤務時間が決まります。

通関士は次の勤務時間で勤務することになるでしょう。

海上・航空に関係なく、8時半~5時半前後の勤務が一般的。
ただし、航空担当はシフト制24時間勤務となることもあり得る。

通関士の定時は最寄りの税関の開庁時間によって変わります。

ほとんどの税関は8:30~17:30前後が開庁時間です。
一方、空港周辺には24時間開庁している税関が存在します。
(例)成田税関

空港周辺の通関営業所に勤務する通関士は『シフト制の勤務』となる可能性があることを理解して下さい。
そして、その通関士は航空貨物をメイン担当にしているはずです。

通関士が使用するシステムが異なる

海上貨物/航空貨物 どちらをメインで担当するかによって、通関士の操作するシステムが異なります。

通関士はNACCSというシステムを利用して通関業務を行うのが一般的です。
NACCSは税関にも設置されており、NACCSを通して税関とやり取りを行います。

問題になるのは、海上通関と航空通関で使用するNACCSが異なることです。
海上通関用のNACCSをSEA NACCS、航空通関用をAIR NACCSと呼びます。
SEA NACCSとAIR NACCSは完全に別物と考えてください。

海上でも航空でも、適用される法律や規制は変わりません。
ただ、通関士の実務は大きく異なることを理解してください。

海上/航空 どちらを担当するかが、通関士の身に付く実務スキルを決定します。

海上/航空で通関士の業務内容はどう違うか

海上/航空 で通関業務の内容は大きく異なります。

大きく異なるポイントは次の3つです。

  1. 取り扱う貨物の金額
  2. 取り扱う貨物の種類
  3. 通関業務の緊急性

海上/航空 それぞれ見ていきます。

【海上貨物の通関業務】特徴3個

海上貨物の通関業務は丁寧にミス無く処理することが重要な仕事です。
海上貨物の特徴は次の3点に集約されます。

  1. 金額の大きい仕事が多い
  2. 多種多様な貨物の取り扱いがある
  3. 業務スケジュールを把握しやすい

それぞれ見ていきます。

取り扱う貨物の取引金額が大きい

海上貨物の通関業務はとにかくミスをしてはいけません。
取り扱う金額が大きく、ミスが大問題になる可能性があります。

飛行機に比べ、船は大量輸送が可能です。
通関業務1件に対する貨物量が大きく、申告価格が大きくなる傾向にあります。

税金の支払いが発生する輸入通関では通関士に大きなプレッシャーがかかるでしょう。
通関士のミスは税金の過剰納付に繋がるからです。
1件当たりの貨物金額が大きいため、通関士のケアレスミスが数百万の損害となることもあります。

海上貨物の通関業務は取り扱う金額が大きく、ミスが許されない業務内容だということは理解してください。

多種多様な貨物の取り扱いがある

日本の貿易は99%以上を船による輸送でまかなっています。
そのため、海上貨物を担当する通関士は多種多様な貨物を取り扱うでしょう。

通関士は貨物の情報を集め、税関に説明する役割を担います。
一般的でない珍しい貨物であれば、通関の難易度が上がるのは言うまでもありません。

海上貨物の通関業務は多種多様な貨物を取り扱うため、貨物の情報収集に時間がかかる業務内容だということは理解してください。

業務スケジュールを把握しやすい

船による輸送には時間がかかります。
通関業務に緊急性をさほど求められないでしょう。

海上貨物の通関業務は時間に余裕がもてる仕事です。
飛行機なら1~2日で到着できる距離でも、船だと1週間以上かかります。

必要書類の大半が通関士の元に前もって集まるでしょう。
通関士は時間に余裕を持ち、書類の内容を確認することができます。

海上貨物の通関業務は時間にある程度余裕を持てる仕事です。
前もって準備を進められることを理解してください。

【航空貨物の通関業務】特徴3個

航空貨物の通関業務は臨機応変に迅速に処理することが重要な仕事です。
航空貨物の特徴は次の3点に集約されます。

  1. 少額貨物を取り扱うことが多い
  2. 限定的な貨物を取り扱う
  3. 緊急案件ばかり

それぞれ見ていきます。

少額貨物の取り扱いがメインとなる

航空貨物の通関業務は取り扱う金額が小さいです。
1万円未満の貨物を取り扱う機会も多く、輸入税が発生しないことも頻繁にあります。

海上貨物と比較すると、航空貨物の通関ミスは問題になりにくいでしょう。

通関士のミスで最も問題になるのは『輸入税の計算ミス』です。
輸入税は貿易貨物の金額をベースに算出されることが多く、貨物代金が高ければ高いほど通関ミスのリスクは高まると言えます。

航空貨物は金額が小さい傾向にあるため、税金の計算ミスが数百円・数千円程度の損失にしかならないことも多いのです。

航空貨物の通関業務は少額貨物の取り扱いがメインであり、ミスが大問題になりにくいと理解して下さい。

取り扱う貨物の種類が限定的

飛行機で輸送される貿易貨物の割合は1%以下です。
日本が貿易する貨物の99%以上は船による輸送でまかなわれています。

航空貨物の種類は『航空輸送に適したモノ』に限定されます。

  • 原本を緊急で届けたい書類
  • 研究所に送付したいサンプル品

航空貨物の通関担当は類似貨物を何度も取り扱うことになるでしょう。
海上に比べ、『税関に貨物の説明をする』機会は少ないかもしれません。

航空貨物の通関業務は取り扱い貨物が限定的なため、貨物について情報を集める機会がやや少ないと理解して下さい。

緊急性が非常に高い

航空貨物の通関業務で最もネックとなるのが緊急性です。
緊急案件が多いため、業務難易度・激務度が跳ね上がる傾向にあります。

飛行機で輸送される貨物は最速で輸送したい貨物です。
顧客は何らかの理由で急いでおり、通関スケジュールもタイトになるでしょう。

落ち着いてゆっくり処理できる航空貨物はほとんどありません。
航空貨物を担当する通関士はいつでも時間に追われています。

航空貨物は緊急性がとにかく高いということを理解してください。

海上or航空 どちらの通関士になるべきか

海上/航空 それぞれの通関担当には向き不向きがあります。
同じ通関業務とはいえ、必要とされる適性が異なるのです。

あなたは事前準備をしっかりするタイプですか?
それとも、臨機応変に対応するタイプですか?

どちらに該当するかで適性が分かります。

それぞれ見ていきましょう。

海上貨物は準備に時間をかける人が向いてる

海上貨物の通関士は準備に時間をかける必要があります。
その場しのぎで対応するよりも、時間をかけた100点のアウトプットを求められるからです。

海上貨物の通関士が事前に準備すべきことは次の通りです。

  • 書類不備の事前チェック
  • 継続的な通関知識の学習
  • 本船スケジュールの変更確認

それぞれ見ていきます。

書類不備の事前チェック

船での輸送は時間がかかるため、貿易書類は余裕を持って通関士の元に届くでしょう。
書類の内容を確認する時間は十分にあります。

直前まで書類の確認をしない通関士は、顧客から『今まで何してたの?』とつぶやかれるのです。

前もって可能な限りの準備を進める方が向いています。

継続的な通関知識の学習

日本が貿易する貨物の99%以上が船で輸送されます。
海上貨物を担当する通関士は幅広い貨物を担当することになるでしょう。

どんなに優秀な通関士でも、知らない貨物の通関処理はできません。
コツコツ勉強し、一つずつ自分の頭にインプットしていく努力が重要です。

どんなことにでも興味を持ち、勉強できる人が向いています。

本船スケジュールの変更確認

船は簡単に遅れます。
天候等の影響により、平気で数週間の遅れとなるでしょう。

海上貨物の通関士は頻繁に船のスケジュールを確認する必要があります。
調べれば誰でもわかることですが、定期的に欠かさずできる人はそう多くありません。

誰でも出来ることを毎日欠かさず継続できる人が向いています。

航空貨物は臨機応変な人に向いてる

航空貨物を担当する通関士は『臨機応変』に対応できるかが全てです。
その場に合わせた優先順位の判断が出来ないと処理が追いつきません。

航空貨物は海上貨物に比べ、通関業務に必要な知識が少なめでしょう。
飛行機で輸送される貨物が限定的、金額も小さいことが理由です。

ただし、航空貨物の通関は簡単というわけではありません。
緊急性が非常に高い案件ばかりで、航空貨物を担当する通関士は常に時間に追われているからです。

次から次へと来る緊急案件に、優先順位をつける必要があります。

あなたは取り組んでいる仕事を中断し、急な依頼をスムーズに処理することができますか?
航空貨物を担当する通関士は一日に何度も業務スケジュールの変更を余儀なくされると理解してください。

スピード感を持ち、臨機応変に優先順位を考えて行動できる方が航空貨物の通関士に向いているでしょう。

【海上or航空】通関業務の違いまとめ

この記事は海上貨物の通関業務と航空貨物の通関業務の違いついて紹介しました。

ポイントはこんなところです。

  • 海上貨物は『船で輸送される貿易貨物』。
  • 取り扱う金額が大きいため、ミスが大問題になる可能性が高い。
  • 時間に余裕があり、スピードよりも正確性を重視される。
  • 幅広い知識が必要なため、継続的な勉強が必要。
  • 何事にも準備万端で臨む人が向いてる。
  • 航空貨物は『飛行機で輸送される貿易貨物』
  • 取扱金額は小さく、貨物の種類は限定的。
  • 緊急案件が多いため、何よりスピード重視。
  • 臨機応変に優先順位を決められる人に向いてる。
ゆうき
ゆうき

海上/航空の選択は通関士の働き方を大きく左右するでしょう。
私は海上の通関を専門で行っていますが、たまに来る航空案件に焦ります。
適性・必要なスキルが大きく異なることを理解してください。

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